離婚前に絶対に取りきめておくべき5つの事項

[記事公開日]2016/08/07
[最終更新日]2016/08/10

離婚協議書の内容

いざ離婚となると、初めての経験という方がほとんどなので、どうしたらいいのか戸惑われることも多いと思います。

日本の場合、夫婦2人で話し合って離婚する「協議離婚」がほとんどですが、どのような内容で合意して、どのような形で証拠として残しておくか、を考えておかなければ、離婚後に大変な苦労をする可能性があります。

今回は、離婚をするとなった場合に、どのような事項を決めて、どのようなかたちで証拠として残しておけば良いかを判りやすくご説明したいと思います。

 

離婚にも種類があるの?

離婚をする場合、お互いに合意して離婚する場合と話し合いの結果折り合いがつかずに裁判などになるケースがあります。

それでは、具体的に離婚にどのようなケースがあるのかを見てみましょう。

 

協議離婚とは

協議離婚とは夫婦での話し合った結果、合意してする離婚のことを言います。実は日本の離婚は約90%が協議離婚と言われています。

二人の合意で決まる離婚ですので、離婚の理由や事情は関係ありません。

お互いが離婚について同意すれば成立します。

離婚をするという事だけでは無く、その後の事を含めて合意をしておく必要があります。

その合意するべき事項は、「取りきめておくべき5つの事項」で後述致します。

 

調停離婚とは

離婚調停条件の折り合いがつかずに、お互いの合意が得られずに協議離婚が成立しない場合でも、すぐに離婚の裁判になるわけではありません。

裁判の前に、家庭裁判所に「離婚調停」の申立てをしなければなりません。

この離婚調停というのは、家庭裁判所で2名の調停委員が、夫婦の間に入って双方から事情を聞いて、双方に公正な調停案を示し、裁判ではなく自主的に解決をはかるものです。

「離婚する」ということには合意が出来ていても、後述する「離婚前に取りきめておくべき5つの事項」のような個々の事案で合意出来ない場合も、離婚調停を申請することになります。

調停は非公開でおこなわれます。夫と妻を交代で調停室に呼んで話を聞きますので、夫婦で直接話し合いをするわけではありません。

裁判と混同されやすいのですが、調停はあくまで自主的な合意で解決しようとするものなので、裁判とは全く異なるものです。

 

裁判離婚とは

この調停でも合意に至らなかった場合は、裁判での決着ということになります。

調停離婚は離婚全体の約9%程度と言われていますので、裁判離婚は1%程度ということになります。

 

離婚前に取りきめておくべき5つの事項

離婚をするということが決まっても、離婚後のことを何も取り決めていないと、離婚後に大変な思いをしてしまうことがあります。

離婚後の人生に大きく関わることですので、特に以下にご説明します5つの項目は必ず取り決めをしておきましょう。

 

①親権

お子さんのためには離婚は避けるべきと考えられていても、やむを得ない事情で離婚をしなければならないということもあると思います。

どちらの親がお子さんを育てていくかを決めなければ、離婚をすることは出来ません。

親権者が決まっていない場合は離婚届は受理されません。

調停になりますと、親権者を決める際には、子供に対する愛情をどちらの方が大きくもっているか、親権者が精神的に不安定ではないか、子育てに充てる時間が十分あるか、子供の意思など、いろいろな角度から、どちらに親権を持たせた方が良いかを判断します。

また、離婚原因と親権者の適正判断の根拠は別のものとされていますので、自分の浮気が原因で離婚になった場合でも、親権者に適していると判断されれば、親権者になることは可能です。

 

②養育費

「私は専業主婦だから、子供の分だけじゃなくて、私の生活費も養育費としてもらわなきゃ!」と思われるケースもありますが、養育費は子供を育てるためのお金なので、いくら専業主婦だといっても別れた後の妻の生活費までは含まれていません。

養育費とは主に幼稚園(又は保育園)から大学までの教育費です。

養育費は支払う側の収入や子供の年齢、人数によっても変わってきます。

実は養育費は、「養育費算定表」という東京と大阪の裁判官が共同で制作した相場があります。(『養育費算定表』はこちら)

この一覧表を作った裁判官の方々ってすごいですよね。

自主的に作られたのでしょうか?

この養育費算定表を参考資料として、東京と大阪の家庭裁判所は広く活用しているそうです。

これを知っているのと知らないのでは、相手に養育費を請求する交渉で大きな違いが出てきてしまいます。

離婚調停になった場合はこの相場表を基にした調停になりますが、協議離婚の場合はお互いの合意で慰謝料も決めますので、この相場を参考に協議されるのが良いでしょう。

 

③慰謝料

慰謝料の請求相手の浮気が原因で離婚になった場合などは、できるだけ多く慰謝料を支払ってもらおうと考えますよね。

浮気以外にもDV(暴力を振るわれる事)やモラハラ(精神的苦痛を与えられる事)なども慰謝料を請求することが可能です。

慰謝料は「養育費算定表」のような相場表はないのですが、大雑把に言いますと、おおよそ100万円~300万円くらいが相場とされています。(不倫などの場合は100万~500万)

もちろん離婚理由や相手の経済力によっても変わってきますので、あくまで参考程度に考えて下さい。

2人の合意で決める協議離婚の場合は、養育費と同じように相場を知っているか知らないかで、交渉の内容が大きく変わってしまいますので、100万~300万(浮気は~500万)くらいの相場ということを念頭に置きながら、交渉されるのが良いでしょう。

 

④財産分与

離婚時にはお互いの財産を半分に分ける「財産分与」を行います。

結婚期間中、妻が専業主婦であっても、共働きであっても半分づつ分けます。

「お前は家にいて、俺が働いて稼いだお金だから、稼いだ分は俺のものだ」と言われて、「ああ、そうですか」と離婚協議で合意してしまうと、その内容で確定してしまいますので、注意して下さい。

(但し、結婚前の財産は対象外ですので、結婚前に夫が働いて貯めていた財産は財産分与の対象にはなりません)

特に気を付けておきたいのが、厚生年金、共済年金などの年金も財産分与の対象となっている事です。

年金には年金分割という制度がありますので、こういった点も協議の際には忘れないようにしておいて下さい。(年金分割に関してはこちら

 

⑤面会交流権

「親権者」とならなかった片方の親が、子どもと直接会って親子の交流をする権利のことを「面会交流権」といいます。

親が子どもに会いたいと思うのは当然のことですし、子供にとっても必要なことでもあるので、このような権利が認められているのです。

面会交流を認めるか認めないかを、認める場合の方法、回数、日時、場所などをどのようにするのかは、夫婦の協議によって決めます。

 

取りきめた事を、どうやって記録に残すの?

いくら取り決めをしても、形に残しておかなければ、後から相手に「そんな事知らない。慰謝料も養育費も払わない」と言われても、どうしようもなくなってしまいます。

ですから、協議で決まった事は絶対に書面に残しておく必要があります。

書面に残す場合、私文書としての「離婚協議書」と公文書としての「離婚公正証書」があります。

 

離婚協議書

離婚協議書とは、前述しました5つの事項をはじめとする内容を話し合いで合意した結果を記載しておく書面です。

口約束ですと、後になって「そんなことは言っていない」とか「聞いてない」といったように話し合いの内容について争いが生じる可能性があるので、お互い話し合った内容で合意したという証拠を残すためにとするために作成しておく必要があります。

離婚協議書は夫婦で作成しても、私どものような行政書士が作成したものでも「私文書」となります。

私文書でももちろん効力はあるのですが、公文書の方が証明力が高いといったメリットもあります。

 

離婚公正証書

法律の専門家である公証人が法律にしたがって作成した離婚協議書を「離婚公正証書」と言います。

公証人は公務員ですので、離婚公正証書は公文書となります。

離婚協議書を公正証書で作成した場合、養育費や慰謝料などの支払が怠った場合、裁判所の判決を待ず強制執行が可能になります。

相手が金銭債務を履行しないときは、財産を差し押さえることができるのです。

逆に言うと、私文書である離婚協議書のみの場合は、養育費や慰謝料の遅延があっても強制執行は出来ず、裁判で争わなくてはなりません。

その裁判の証拠として離婚協議書は有効になるのですが、わざわざ裁判をしなければいけないというのは大変面倒なことでもあります。

但し、離婚公正証書は作成に費用がかかります。

一般的には数万円程度ですが、目的の価額によって5千円から20数万円以上といった幅があります。

WEBの知恵袋などのQAサイトと見ると、養育費の不払いで困っている方がどれだけ沢山いらっしゃるか判ります。

それだけ、離婚後の養育費の不払いは多いのだと思います。

そう考えると、作成に少しお金がかかるとしても、将来の事を考えれば、離婚公正証書を作成されるのが良いのかもしれません。

 

まとめ

離婚後の生活いかがでしたでしょうか。

離婚をするとなると、一刻でも早く離婚したいと思われるかもしれませんが、急ぎ過ぎて、決めるべきことも決めずに合意して離婚してしまうと、後で大きな損をしてしまうことがあります。

離婚は金銭面でも厳しくなる時ですが、後々のことを考えると専門家にご相談されるのが良いかと思います。

無料相談を受けている専門家もたくさんいますので、WEBで調べて、一度問い合わせてみるのも良いかもしれません。

離婚というのは精神的に辛い時期ではありますが、決めるべき事をじっくり決めてから、次の人生に向けてのステップを歩まれるのが良いと思います。